手に入れる女
困った……
ついに正面から勝負をかけてきた。
優香からの一方的な電話を受けて、佐藤はしばらく放心状態だった。
顔を合わせないように、コーヒーショップに行くのも止めていた。
のらりくらりとかわして、時が経つのを待っていたが、優香はそれでは納得してくれないらしい。
うやむやにする佐藤を許すつもりはないのだろう。
メールではなく、電話ではっきりと宣戦布告をしてきたあたりに彼女の決意が感じ取られた。
このまま約束をすっぽかしたとしても、優香はどうにかして自分に会いに来るのではないか、という予感がした。
考えれば考えるほどそれは確信に変わっていく。
優香が恐る恐る7時にコーヒーショップに行くと、驚いた事に佐藤はすでに店でコーヒーを飲みながら席に座っていた。
「小泉さん、お久しぶりです」
優香が席に着いた時に佐藤がした挨拶は、以前と変わらず全く何事もなかったかのような態度であった。
にこやかで穏やかな微笑みを湛えている。
「ようやく会えました」
優香のふてぶてしい言い方に、佐藤はふっと笑い声をもらした。
含み笑いに一瞬ひるんだ優香であるが、すっと佐藤の目を見て口を開いた。
「何もコーヒーショップに来るのをやめなくてもいいじゃないですか。私、佐藤さんに会うのを楽しみにしてるんですよ」
「知ってます」
佐藤はさらりと答える。
優香は、自分の頬がかあっと熱くなるのを感じた。