手に入れる女
それから数日経った、そろそろ年末の慌ただしさを感じ始めるころ、優香はコーヒーショップで仕事をしていた。
ここのところ、気分転換も兼ねて、よくコーヒーショップに仕事を持ち込んでやっていた。
佐藤に会うのを楽しみしていたからだ。
あれ以来、佐藤に会っていないが、優香の気持ちは落ち着いていた。
多分、佐藤は優香をわざと避けるようなことはもうしないだろう、と思う。
恐らくタイミングがあった時に、コーヒーショップで再会するはずだ、と確信していた。
だから……自分からメールや電話をするまでもない、と思っていた。
思いがけず会ったら、その方がずっと楽しいし、そういう時が必ず来ると優香には分かっていた。
なぜだか……わかっていたのだ。
うっかり仕事に夢中になっていたら、午後の早い時間、佐藤がコーヒーを持ってテーブルの隣りに立っていた。
「熱心に仕事してますね」
「あ!? 佐藤さん?」
優香は、慌ててそこらへんにあるペーパー類ををざっとかき寄せて、パソコンを閉じた。
「どうぞ。座ってください」
佐藤に席を勧める。
「いい?」
佐藤は、一応は聞いてみていたが、優香の返事を待たずに席についた。その遠慮のない感じが親しくなっているような気がして嬉しい。