お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
藤丸さんの顔見て、自分の言葉でさよならするのは辛すぎる。

笑顔でお別れする自信もなければ、藤丸さんの顔を見たら自分の意思だってあっという間に崩れてしまいそうだった。



別れは告げずに出ていこう。

藤丸さんが仕事に出ている間に、こっそりとこの家を出よう。


現実に戻るだけ。
二人の同棲生活が始まる前のいつも通りの生活に、また戻るだけ。


この生活を終わらせるという決心はすぐにでも崩れてしまいそうで、私は何度も何度も自分に言い聞かせた。


まるで、呪文をかけるみたいに何度も何度も言い聞かせていた。

けれど、その度に鼻の奥はつんとしてしまうのには、気づいていないふりをした。
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