お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「琴理」
抱きしめあってどの位時間が経ったのだろう。

頭の上から降ってきた藤丸さんの言葉。


いつもは『ちゃん』付けの藤丸さんに名前を呼び捨てで呼ばれたらゾクッとした。
これまでだって、藤丸さんは多分無意識に必死になると私の事を呼び捨てするから、その度に私は背筋が伸びて、ゾクッとしてしまうのだけど。

今日は藤丸さんの声が必死だったからゾクッとした訳じゃない。
藤丸さんの声が、今まで聞いたこともない程に、あまりに色気のあるバリトンボイスだったから。



それまで顔を藤丸さんの胸に埋めていた私は、思わず顔を見上げた。

すると、一瞬整った顔を崩すように微笑んで、間髪いれずに軽いキスを私へ落とした。

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