その男、猛獣につき

「実習ラブの相手が主税だって知ったら、しげちゃん腰抜かすかもな」

敦也さんはいつものようにガハハと笑う。

 

「だーかーらー、」

もう、今日はずっとこんな感じだ。



「まぁ、もし主税に手ぇ出されたら、俺にいつでも相談しておいで。」

「はい。でも、先生は実習生に手出すなんてありえないでしょう」


自分で言いながら、それはそれでなんだか寂しくなる。



「そっか、舞花ちゃん知らないよね。あいつ、学生の頃何て呼ばれていたと思う?」

 

「さぁ?首席で卒業の噂は知ってますけど」

敦也さんの質問に答えた私に、敦也さんは苦笑いを浮かべる。


「主税、昔から無駄に頭はいいからね。それに、そこそこモテていたからさ。」

 

なんとなく、分かる気がする。

 

「だからあいつの呼び名は、百戦錬磨の猛獣。」

 

「ひゃ、百戦錬磨の猛獣!!!」

私はびっくりして、敦也さんに施していた肩のテーピングのラインを大幅に間違えてしまった。



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