その男、猛獣につき
「今日は用があって、治療手技の指導出来ないから。じゃあ、お疲れ」
先生の言葉が私の頭の上から降ってくる。
私、完全に避けられている。
先生の言葉に落ち込んでしまう自分を奮い立たせ、無理やり口角を上げて笑顔をつくる。
「分かりました。お疲れさまでした」
先生は私を見向きもせず、まるで逃げるかのようにリハビリ室を後にした。
私は、先生の姿が見えなくなるまで、ただそこに立ちすくんでいるだけだった。