その男、猛獣につき

連れてこられたのは、3階建てのマンションの一部屋だった。1LDKのモノトーンでまとめられたリビングに通される。

 

「ここは…」

「俺の家。リハビリ室は使い勝手が悪いから」

 

「かわいい実習生に風邪でもひかれたら困る。風呂、使っていいから、暖まってこい」

そう言ってバスルールに無理やりのようにして押しやられてしまう。

 

「タオルも、シャンプーもあるものは適当に使え」

ドアの向こうから先生の声が聞こえてくる。

 

「あ、ありがとうございます」

 

ぶっきらぼうで強引だけど、やっぱり優しい興梠先生。

シャワーを浴びると、びしょ濡れで冷え切った体だけじゃなくて、心まで暖まる。

 

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