その男、猛獣につき
「珍しいな。有田が自転車乗って出かけるなんて」

先生がドライヤーをかけながら、背中越しに話しかける。

「色々あって、コンビニにスイーツを買いに行こうと思ったんですけど」

「色々…」

先生の言葉が濁る。

 

「あっ!!その。なんというか、今日、私誕生日なんです。それで…」

「ちょっと甘いものを食べようと思って。で、この怪我か?」

コクリ、もう頷くしかない。



「甘いもの、本当に好きなんだな。有田」

背中越しの先生の声は、いつも以上に優しい。

 

先生のことも、大好きです。

勢いで言うことが出来たらいいのに…

 

そんな思いがわき上がるのを、必死で抑える。

先生の手が触れた頭が熱いのはきっとドライヤーのせいだと思うことにしよう。

 

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