その男、猛獣につき


「本当に台風なんて来るんですかね、って数時間前は言ってたのにぃ」

午後3時、私はカーテンを少しだけ開けて、外の様子を見る。

 

少しずつ風が強くなっている。

午前中の業務が終わると、台風がくるからと皆そそくさと帰っていった。




リハビリ室には私一人が残り、いつもの週末を迎えようとしている。

 

風の音が、うっすらと外から聞こえてくる。

本当に直撃するかもしれない。



ふと、一人取り残されたような気になってきて、不安に駆られる。

 

「はぁぁぁぁ」

目の前にある紙袋を見て、私は大きくため息をつく。

 

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