その男、猛獣につき


先生はきっと服のことを忘れているんだ。

 

土曜日に、と書いてあったポストイットをはがしてゴミ箱に捨てる。



先生が忘れているとでも思わないと、心が救われない。

 

だって、先生は業務が終わると一番に帰っていったから。

 

避けられてるなんて思ったら、この週末、紙袋の中にある服に心は囚われてしまって、どうにかなってしまいそうだから。

 

どうしてこうなっちゃったんだろう。

 

そう思い始めたら、涙がこぼれそうになって視界がかすんできた。

 
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