その男、猛獣につき

実習も折り返しを迎えるんだから、あと4週、敦也さんが言うように実習に集中する。

 

そして、先生に対するこの気持ちも忘れられたら…。

 

零れおちそうになる涙を、鼻をすすってどうにか押しとどめる。

 

外の風雨の音が徐々に大きくなっている。

静かなリハビリ室にぽつんと1人居ると、余計に外の音は大きく聞こえるような気がして不安に駆られる。

 

「そうだ、レポートでも片づけてしまおう」

気持ちを切り替えるように1人そう呟いて、ADL室のちゃぶ台に置いたパソコンを起動させる。

 

起動するパソコンの画面を、ぼんやりと眺めている時だった。

 

ガラガラ---

 

リハビリ室の重いスライドドアを開ける音が聞こえてくる。

 

「えっ?!」

私は思わず、身をこわばらせる。

 

 

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