その男、猛獣につき

「森田さんのレポート、あぁ。俺、ここの文面ずっと気になっていたんだけど」

 

「えっ、どこですか?」

 

「この立位の姿勢分析の所。この体幹と下肢の位置関係、支持基底面と重心位置のこととか考えてる?」

「いえ、見たままを。」

 

思わず先生に冷たい視線が投げられて、私は肩を竦める。

そんな私に先生は丁寧に近くにあった紙に図を書いて説明し始める。

 

やっぱり、実習のことだから、こうやって隣で教えてくれるんだよね。

ただ、それだけ、ただそれだけだから。
期待なんてしちゃいけない。

 

「有田、集中してる?」

「ハイッ!!!」

「それなら、いいけど…」

余計なこと考えてたなんて口が裂けても言えず、私は思わず背筋を正して返事をする。

 

ここは、集中しなきゃ。

 

私は自分にそう言い聞かせる。

 

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