その男、猛獣につき
思いのほか大きな物音だったせいか、二人の間に一瞬にして緊張感が増す。

 

「本当に台風直撃かもな」

 

先生がそんな不吉な言葉を発した瞬間、ものすごい風の音が聞こえてくると同時に、目の前は真っ暗な闇に包まれた。

 

「キャッ」

小さな悲鳴が思わず口をついていた。

その瞬間、先生の大きな腕で引き寄せられ、先生の香りに包まれる。

 

「大丈夫、ただの停電だ」

先生の言葉が頭の真上から聞こえてくる。

 

なんだ、停電かぁ。びっくりした…。

 

停電だと分かれば、一気に冷静さを取り戻す。

 

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