その男、猛獣につき
パチッ、ピッ、ピッ。
私が先生の腕の中で動けない状況にいること数分。
順序良く照明が付き、物理療法の器具の電源が入っていく電子音が聞こえる。
「非常用電源に切り替わったみたいだな」
そう言って天井を見上げ、少し腕の力を緩めた先生。
私は、その瞬間に先生の腕の中から抜け出し、距離を取る。
「なんか、すいません。停電でびっくりしてしまって」
恥ずかしくて顔なんて見ることが出来ず、私は頭を指先でかきながら言い訳がましく伝える。
「俺も、つい」
先生も気まずそうにこたえる。