その男、猛獣につき
たった二人きりのリハビリ室の端っこのADL室。

聞こえてくるのは、外の荒れ狂う風と雨の音。

 

また、二人の間に沈黙が流れる。

 

「と、とにかく、次いつ停電するか分からないから、レポートはやめるか」

「そ、そうですね」

 

さっきのことは、意識しちゃいけない。

 

パソコンをシャットダウンさせながら、私は自分に言い聞かせる。

 

先生は、ただ私のことを実習生としてしか見てないんだから。

 
どことなく気まずい会話。

話が停まると先生との抱擁が鮮明に思い出される。

 

まだ、私の身体が覚えている先生の感触が、鼓動をさらにヒートアップさせているのは間違いないようだ。

 
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