その男、猛獣につき
「もう有田ちゃん!!!名前くらい知ってる、知ってる」

「あら、まだ興梠 舞花じゃないの?」

目の前には部長に竹内さんに嶋本さんたちが笑顔で迎えてくれている。


それから、もちろん弄られて若干不機嫌そうな主税さんは竹内さんたちの後ろに居て、私と目が合うと、目を細めてくれたから、緊張でがちがちだった私は幾分リラックスできた。


真っ白のケーシー型白衣に紺色のズボンというユニホーム姿の主税さんは実習で嫌という程見慣れているはずなのに、ここ最近は私服姿ばかりだったので鼓動が大きくなる。


やっぱりかっこいいな。それに比べて、私は…

主税さんと同じユニホームなのに、真新しい私のユニホーム姿はまだまだ着せられている感じがして落ち着かない。





「制服もなかなか似合ってる」

挨拶回りも一段落したリハビリ室ですれ違いざまに耳元で囁かれた主税さんの言葉に、私は足を止めて顔を赤らめる。


「昼休み、屋上に来い。じゃあ」

主税さんは私が照れているのに気付いてくすくす笑いながら、こっそり誰にも気付かれないようにそれだけを言い残し、主税さんは忙しそうに立ち去っていった。


< 325 / 328 >

この作品をシェア

pagetop