その男、猛獣につき
「舞花、ごめん。待たせたな。カンファレンス長引いた」

お昼休みに誰もいない屋上で待っていると、申し訳なさそうに主税さんが階段を駆け上がってくる。



山並みが一望できるこの屋上は、風に乗って春の匂いがして来て気持ちが良い。


「そんなに待ってないですよ。それに、実習の時には気付かなかったんですけど、この屋上とても気持ちが良いですね」

「そうだな」



大きく深呼吸する私に、主税さんは柔らかな表情を見せたかと思うとスッと私を捕まえて胸の中に抱きしめた。




「はぁあああ。今日まで長かった」

「ふふ、待たせてすみません」

主税さんの背中に私も手をまわす。
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