その男、猛獣につき
「あのぉ、ところでどこに向かっているんですか?」
先生の車では、ノリのいい洋楽が流れている。
先生もそれに合わせて鼻歌なんか歌ったりしてご機嫌のようだ。
しばらくは静かにしていたけれど、さっきの電話と関係がありそうだったし、気になったから恐る恐る訊ねてみる。
あぁ。
私の存在なんて忘れていたかのように返事して、ニヤリと口角を上げる。
今日はもう何度も見る意地悪悪魔の興梠先生の笑顔。
「猛獣たちの巣窟」
「はっ?」
私は目を白黒させた。
「だから、猛獣たちの巣窟」
先生はますます意地悪そうにニヤリと微笑む。
「まぁ、着いてからのお楽しみ、だな。」
「か、覚悟して、挑みます。」
私は顔を強張らせて、先生の言葉に返事をした。