その男、猛獣につき
俺の鼓動がドクンドクンと身体中を支配している間に、病院に到着してしまった。
有田は車から降りる間際に、少しだけ照れくさそうに口を開く。
「先生のこと、冷徹だと思ってたけど、本当は優しいですよね。ものすごく。」
俺の顔も見ず、俺に背中を向けて言った。
その瞬間、自分でもどうしてそんな事したのか分からない。
けれども、気づいたら有田の腕を掴んでしまっていた。
もう少し一緒に居たいとも思った。
核心を突かれてしまったような衝撃もあった。
有田のその顔を見てみたいとも思った。
今冷静になって考えたらそうなんだと思う。