その男、猛獣につき
んっ??

リハビリ室に泊まり込んでいる有田は、先週まではリハビリ室の奥の襖から現れていた。

それなのに、今日は入ってくるはずのないドアから出てきた。

 

俺が不思議な顔しているのに気付いたようで、有田はやる気に満ち溢れた顔をしていた。



「森田さんの起床からの朝の動作の確認に病棟に行ってきました。」

「じゃあ、朝のリハビリ室の準備は?竹内さんと嶋本さんに任せたのか?」

実習生には、毎朝リハビリ助手の竹内さんと嶋本さんと一緒に、治療用ベッドのリネン交換やホットパックの準備の雑務がある。

 

雑務も大事な仕事の1つ。

それを2人に押し付けて、何やってるんだ、有田は。

 

思わず、有田を責め立てるような言い方をしてしまうと、申し訳なさそうに竹内さんが話に入ってくる。

 

「有田さん、1人でリハビリ室の準備終わらせてくれて、病棟に行ったのよ。むしろ、準備してないのは私たち」



ねぇ、と嶋本さんと顔を見合わせて、申し訳なさそうにしている。

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