その男、猛獣につき

 結局、有田とリハビリ室に21時近くまで2人きりで残り、治療手技についての指導をすることになってしまった。


「何で、ここがこうなるんですか?理論上の話ですか?」

有田は、不明な点があると根掘り葉掘り聞くので、俺の方が根負けしてしまう。


「もう今日は遅いから、続きは明日の業務終了後な」

「はいっ!!!ありがとうございます」

結局、明日も約束してしまった。

 

今日は一日、有田に振り回されっぱなしだったな。

おかげでこんな時間まで残業して、明日も残業決定か…。

 

帰りの車の中で、心の中でぼやいてみた。


けれど、自分のペースを乱されているにも関わらず、ストレスに感じていない自分が不思議だ。


むしろ、明日も有田と残業することを心待ちにしている。

信号待ちの車内で思わずほくそ笑んでしまった。

 

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