その男、猛獣につき

「有田、今日の夕方はどうするんだ?」

金曜日の昼休み、俺は昼食を食べている有田に訊ねた。

 

月曜日の宣戦布告から始まった有田の実習2週間目は、業務終了後には必ず俺に実技指導を懇願した。

そのため2人きりで、もう連続4日、毎日3時間程残業してマンツーマンで指導している。

 

連日夜遅いのに、5症例の症例レポートだって、毎日提出し、添削するとまた翌朝には訂正されたレポートを提出する有田。



「有田、ちゃんと睡眠時間取れてるか?」

「大丈夫です!!!短時間で爆睡してますから」

はははっと明るく笑って答える有田が心配になる。

 

「興梠先生も、実習生の心配するんですね。」

後ろから、竹内さんに囁かれた。

咄嗟に振り向き、睨んだけれど、竹内さんはニヤニヤと意味深な笑顔を浮かべている。



そういえば去年まで、「実習生は寝なくて当たり前」と言っていたのは、忘れたことにしよう。


 
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