シークレットな関係

まさか、わざわざついてきてるんだろうか。

早朝で人通りもないせいか、道に響く足音が少し不気味に感じる。

試しにスピードを緩めてみるけれど、足音は近づく気配がない。

どうも一定の距離を保っているよう。


どんな人が走っているんだろう。

男性だろうか女性だろうか。

どうして追い抜いていかないの?

また、ただの自意識過剰?


でも、スピードを緩めても増しても距離感は変わらない。

止まって振り返ってみる勇気がない。

考えれば考えるほどおかしく思える。


恐怖を感じて一気にスピードを上げ、全力疾走に近い勢いでアパートを目指した。

アパートの駐車場に入って素早く車の陰に隠れ、荒い息を整える。

心臓がどきどきしているのは、走ったせいだけじゃない。

だって全力で走っても、足音はずっとついてきていたんだから。


車に隠れながら道の様子をそっと伺うと、キャップをかぶった男性が、アパートのほうをちらちら見ながら通り過ぎていくのが見えた。

今の人が後ろを走っていたのだろうか。

何のために私の後をついてきたんだろう・・・。


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