シークレットな関係
「桃瀬さん。それ、危ないですよ。しばらくジョギングはしない方がいいですね」
今朝のことをマネージャーに話すと、そう即答された。
「やっぱりマネージャーもそう思う?」
「ファンかもしれませんが、不気味です。というか、あのアパートは引っ越した方がいいです。セキュリティがない。高橋さんがいれば安心ですが、いつも一緒にいるわけじゃないでしょう」
そうだ、彼とは同棲しているわけじゃなく、仕事が忙しいときは自宅マンションに帰ることが多いのだ。
ここ二週間ほどは毎日来てくれていたけど、しばらく会えないと言っていたから、もしかしたら出張が終わっても来ないかもしれない。
マネージャーの言うように、セキュリティの利いたところに住むのがいいんだろう。
とはいっても、まだまだ収入は十分とは言えず、安定もしていない。
高い家賃を払っていけるかが不明だし、今までが貧しかったから、そもそも引っ越し費用がない。
それに今のアパートはジョギングコースを含めた周りの環境が良く、少なからず知り合いもいる。
できれば離れたくないのが本音だ。
「社長に話して、いいところを探してもらいます」
「あ、自分で探すからいいわ。私なりに条件があるし」
「なるべく早く見つけてくださいよ。俺も協力しますから。さあ今日はご意見番のいる番組出演ですから、気を引き締めてください」
「はい」
今日は昼の情報番組へのゲスト出演。
テレビ局に着いてさっそくご意見番と共演者たちに挨拶をしにいき、リハーサルに臨んだ。