シークレットな関係
彼が胡坐をかいて姿勢を正し、まっすぐに見つめてくるから私は正座になる。
「他には、何もないのか?」
「うん。今のところは特にない。けど、事務所が早く引っ越しなさいって言うの。それでお部屋を探すのが難しくて。専務の情報は家賃二十万オーバーで高すぎるし」
広さが十分で機能的で立地もセキュリティも抜群なのはいいんだけど、今はとても無理だ。
「そんなの簡単だ、俺のところへ来ればいいだろ」
考えるそぶりも見せずに、あっさりと言われて少し混乱する。
彼のところというのは、つまり・・・。
「え、一緒に住むってこと?いいの?」
「当然。ここはセキュリティが甘くて危ないと前から思っていたんだ。とりあえずの荷物を持って、今夜から来い」
「でも、和哉のマンションは駅から近くて人通りも多いし、もしも会社の人に見られたらばれちゃうかもよ?」
「俺はばれても一向にかまわん。俺たちのことは事務所もOKしてるだろ。ただ、桃花が、怪しい占い師の言ったことを気にしてるだけだろうが」
そうだった。
彼は私に付き合ってシークレットな関係を保っているだけ。
事務所も、清純派で売るつもりはないからオープンにしてかまわないと言うし、こだわってるのは、私だけなんだ。