シークレットな関係


「昨日、手加減しないと言っただろ。嫌なら契約破棄するか?俺はちっとも構わんぞ」

「予想外だったから、びっくりしたの。これくらい平気だから」


我ながらにウブな反応すぎて情けなくなる。

こんな風だから、元子役を集めたバラエティにも出られないのだろう。

『もっとアドリブができるようになれ』と事務所にも言われたっけ・・・。


タクシーは白い外観のレストラン前で停まり、先に降りた高橋の手がスッと差し出された。

それがとてもスマートで、私も自然に手を預けて降り立つ。

ヤシの木の向こうにある黒い海からは、波音が聞こえてくる。

結構遠くまで来たんだ。


「おい、行くぞ。食事は予約してある。嫌いなものは緑の小豆だけだろ?」

「緑の小豆って・・・グリンピースと言って。まだ覚えていたの?」

「給食に出るたびに櫻井が泣くから、食べてやっただろ。覚えてないのが不自然だ」


そうだった。

グリンピースのあるメニューの日は、嫌いなのを知ってる女子にてんこ盛りに入れられて、でも全部食べなきゃいけなくて、哀しくて気持ち悪くて泣いたんだった。

『こんなので泣いてんじゃねーよ』って、全部引き受けてくれていた。

あのときだけは、ぶっきらぼうだけど優しかったな・・・。

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