シークレットな関係
マサキさんは、そのドーム状の蓋を取るようにカオリさんに促している。
ピアノの音がやんでみんなが注目する中、蓋を開けたカオリさんは「これ、本当に?」と言って両手で口を押えた。
「カオリさん、受け取ってくれますか」
そう言ってマサキさんがお皿の上から取ったのは、小さな小箱だ。
「俺と、結婚してください」
「・・・はい、喜んで」
瞬間拍手が巻き起こり、祝福の声が店内に飛び交った。
二人は照れ笑いをしながら答えている。
サプライズのプロポーズなんて、初めて見た。
二人とも幸せになるんだろうな。
いいものを見させてもらった。
実物は何よりも演技の勉強になる。
高橋はこういうことがあるって知ってて、ここに連れてきてくれたのかな。
「素敵だね。ここ、高橋はよく利用するの?」
「いや・・・そうでもない。前に来た時からは一年以上経つ」
一年以上前なら、きっと彼女と一緒に来たんだ。
どんな人だったのかな。
コーヒーを飲み終えてレストランから出ると、高橋は海岸を歩くぞと言い出した。
湿り気のある風が髪を弄ぶ。
間近で海を見るのはいつ以来だろうか。
砂に足が取られてヨタヨタする私の腰を高橋の腕が支えてくれた。
繰り返す静かな波音とほのかな月明かりがロマンチックで、私を支えている腕が力強くリードしてくれて、本当のデートをしているような錯覚に陥る。