シークレットな関係
波音と砂を踏む音だけを聞きながら何も話さずに歩く。
暫くすると、ぴたりと足を止めた高橋に抱きしめられた。
顎に添えられた手で上を向くよう促されて、トクンと鳴る胸を無視して見上げると目が合った。
普段見る瞳よりも優しく感じるのは、このロマンティックなシチュエーションのせいだろうか。
目を閉じると、腰を抱く腕に力が入り、そっと唇が合わせられた。
──二度目の、キス。
差し入れられた舌に翻弄されて、意識が持っていかれそうになる。
高橋の服をぎゅっと掴んで溺れまいとするけれども、優しい舌遣いがそうさせてくれない。
唇が離れた頃には全身の力が抜けていた。
息が上がっている私を支える彼は、悔しいくらいに平然としている。
「このくらいのキスでこのザマか?先が思いやられるな」
高橋のキスがうますぎるのが悪いと思うが、経験の浅い私にはこれが普通なのかそうでないのか分からない。
「今日はこれくらいにしといてやるよ」
タクシーで家まで送ってもらい、車から降り際に抱き寄せられて額に唇が触れた。
「また明日な。おやすみ」
「・・・おやすみなさい」
走り去っていくタクシーが見えなくなると、へなへなとその場に座り込んでしまった。
手加減なしの高橋の演技に翻弄され過ぎだ。
私、期間終了まで身が持つのだろうか。
男難は、このことで間違いなさそうだ・・・。