シークレットな関係
パンを食べて『ん~、美味しいですぅ~』とあまったるい声を出してるレポーターの宇津木晴香は、私と同じ事務所で二十二歳の子だ。
今事務所が一番力を入れて売り出している子で、入ってくる大きな仕事はみんなあの子に持っていかれている。
『あ、悪い。これ宇津木の仕事だから』
──また嫌な嫉妬心がわいてしまう。
スプーンをぎゅっと握って目をつむり、俯いた。
このコーナーが早く終わればいいのに。
「どうしたの?櫻井さん、もしかしてもうお腹いっぱい?」
笹山さんが話しかけてくれて、もやもやする渦の中から抜け出ることができた。
「あの、ちょっと、ぼーっとしちゃって・・・まだ食べますよ。お腹空いてますもん」
それからはテレビに意識を向けないよう、みんなに話題を振りながら時間をやり過ごした。
ランチから戻り、デスクに座った私の前に書類の束がポンと置かれた。
「これを頼む。できるだろ」
前と同じく付箋が貼ってあり『七時 会議室』と書かれている。
「はい。大丈夫です」
パソコン画面を見る高橋は、相変わらずデスク周りに見えない壁を作っている。
そこに女子社員が近付いていき「課長、お願いします!」と持っていた書類を差し出した。
その子の頬が赤く、胸のあたりを手で押さえていて、モジモジしているようにも見える。
高橋は書類からクリップで留められた何かを外してその子に差し出した。
小さなメモ用紙みたい。