シークレットな関係


外に出ると、衰えるどころか強まった気さえする風雨に襲われ、もやもやと考えていたことが一気にぶっ飛んでしまった。

水玉模様の傘は広げても小さめで、駅に着いたときには足がびしょびしょに濡れた。

駅は迎えを待つ人とこれから電車に乗る人で、いつもに増して混雑している。

運転見合わせしている路線もあり、呆然と案内看板を見つめる人たちもいた。

幸いにも私の乗る路線は通常運転で、水滴が流れていく電車の窓を眺めながら残業中の高橋を思う。

彼が帰る頃には止んでるといいな・・・。


降りる駅に着いて、全然変化のない空模様にため息が出る。

タクシー乗り場には長い列ができていて、私も乗って帰ろうかと考えるけれど、すでにびっしょり濡れてるから今更かと思って止めた。

高橋の勧めに従っておけばよかったなぁと後悔しても後の祭りだ。


『だからタクシーを呼ぶと言っただろうが』


眉間にシワを寄せる顔が容易に想像できる。


「だって、もったいないんだもの」


つい独り言が出る。

セレブっぽい彼にはなんてことない金額でも、コンビニでプリンを買うかどうか迷う私にとっては、タクシー代は大金なのだ。

アパートまで駅から歩いて十五分、意を決して雨の中に出た。


家に帰るとすぐに濡れた服を洗濯機に放り込み、バスルームに飛び込む。

全身びしょ濡れになり、初夏の雨といえど指先が冷え切っていて感覚がない。

頭の上から温かいお湯をかぶってじっとしていると、ようやく人心地がついてきた。


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