シークレットな関係
まさかこんなに降るとは誰も思ってなかったんじゃないかな。
十分にあたたまって頭と体にタオルを巻いて出ると、急いで棚から『肌ケアグッズ』の入ったバスケットを取り出す。
全身美肌を保つには、入浴後の三十分間が勝負だ。
この時間は体から水分が逃げていく一方なので、肌がどんどん乾燥して角質がカラカラのスポンジ状態になるらしい。
あとで化粧水をつけてもうまく浸透しないから、お風呂上がりの水分が残っているうちにケアするのだと、子役の頃ヘアメイクさんに教えられた。
『女優さんは体が資本。健康に気を付けるのはもちろんだけど、肌もきちんとケアしてね。いつまでもツヤッツヤのプルンプルンの美肌でないと!』
子供の頃はピンとこなかったけれど、二十六歳を過ぎた今はそれを実感している。
二、三日さぼるとてきめんにメイクのノリが悪くなるのだ。
いつものように顔に化粧水パックをしてから、お気に入りのアロマキャンドルに火を灯す。
CDをセットしてゆるやかなメロディを流し、リラックスしてマッサージしながらボディクリームを足の裏までくまなく塗る。
プリン一つ買うのも悩む私だけれど、美容関係にはお金を惜しまない。
高級美容液を買ったりエステサロンには行けないけれど、気に入ったものは迷うことなく買ってストックしてある。
「今日のプリン、美味しかったな」
前に食べたのは倒産した会社にいた頃だから、六ヶ月以上ぶりだ。
頬がツンと痛くなるくらいに美味しくて、涙が出るかと思ったほど。
まさか高橋があんな風に励ましてくれるなんて思わなかった。