シークレットな関係
演技で色気を出せれば、私もラブシーンがうまくなるかもしれない。
女優さんたちの演技を見た今なら、できるかも。
エンディングロールを眺める高橋をじっと見つめる。
・・・試して、みようか。
「何じっと見つめてんだ。惚れたのか」
正面を向いたままボソッという高橋に先手を打たれてドキッとし、試そうとする気持ちが一気に萎えた。
「ち、違うから!お礼を言おうと思って。すごく面白かったし、ためになったから」
今日の占いの『思わぬ拾い物』は、きっとこれのことに違いない。
演技のアドバイスなんてほぼされることがなく、監督の要求に応えるのも、自分で必死に考えて経験して身に着けていくものなのだ。
「そうでないと、俺の努力が報われねえ」
「え?」
「・・・これ、古い映画だから近所のレンタルショップには置いてなかったんだ。方々捜しまくってやっと見つけたのがこれ。しかもレンタルがなくてお買い上げ。これ一つのためにすげー苦労したんだぞ」
「そこまでしてくれたの?」
高橋は残業続きで忙しかったのに。
これじゃなくても他の映画でもよかったのに。
諦めずに探して、しかも買ったなんて。
そういえば昔からコレ!と決めたら、こだわる性格だったっけ。
「櫻井のためだからな、がんばった」
「そう、なんだ。ありがとう」
どうしよう。こんな風に言ってもらうのは、子役時代のスタッフたち以来だ。
契約だからとわかっているけれど、嬉しくて高橋の顔がまともに見られない。
「・・・と、言ったら、どうする」
「え?ウソなの!?」
ニヤッと笑う高橋の顔が目に入り、顔がカーッと熱くなった。騙されたの?