シークレットな関係
パソコンを立ち上げて仕事の準備をしていると、ぽっちゃり美人の大野さんが高橋のデスクにお茶を運んできた。
挨拶をしながらデスクの上にそっと湯呑を置いて、私のデスクまで来て深い息をついて肩を落とした。
そんな彼女に朝の挨拶をすると、「おはよう」って言った後にグッと顔を近づけてヒソヒソ声になった。
「ああ緊張した。もう高橋課長ったら、朝っぱらから話しかけるなオーラが半端じゃなくて怖いわ。櫻井さんはよく普通に話しかけられるよね」
「んー、高橋さんは高校の時もあんな雰囲気だったから、慣れてるっていうか・・・」
「そうなんだ、あんな高校生だったの?友達少なそう~。話しかけたら、あの綺麗な目から冷凍ビームが出そうだもん。一発で氷漬けになりそう」
冷凍ビームという比喩がおかしくて、ひとしきり笑いあう。
そう言われてみれば、女子にはモテていたけど、高橋の回りにいた男子は友人というよりもボスに従う子分って感じだったかな。
「確かにそうだったかも!」
魔神と言われていたと話すと、大野さんは「何それ、ピッタリ!」と笑った。
「あれ?ね、今日の櫻井さん、いつもと雰囲気違うね。髪巻いててすごくカワイイ!」
「ありがとうございます。ちょっと早起きしちゃったから、髪をいじってみたんです」
「へえ、上手だよね。私も長い髪だったら教わりたいくらい。あ、そうだ。櫻井さん明後日の夜は暇?例のおでん屋さんに行こうかって話があるんだけど」
「屋台の?わあ行きたいです。でも・・・ちょっと予定を確認してみます」
「じゃあまた返事聞かせてね」