シークレットな関係
隅の方にいる彼女は席から立ちかけては座ってを繰り返し、顔色も青ざめていて、大野さんみたいな心配そうな表情とは違う。
もしかして、何か知ってるのかもしれない。
彼女に尋ねてみようと決め、こっそり近づいて内緒の声で話しかけた。
「あの、もしかして資料の行方を知ってるんですか?」
ビクッと体を震わせて振り向いた彼女の大きな瞳から、涙がぶわっとあふれ出てきた。
そして、縋りつくように私の袖を掴む。
「あ、私、私・・・どうしよう」
「あ・・・ちょっと、廊下に出ましょうか」
声を出して泣いてしまいそうな彼女を引っ張って給湯室まで来て、詳しい話を聞いた。
嗚咽交じりの話をまとめると、先週末ゴミ当番だった彼女はリサイクル用の紙ゴミとシュレッダーの中のゴミを捨てたという。
そのときに課長のデスクの上にあるリサイクル紙を入れた籠の中に、件の資料があったかもしれないというのだ。
ものぐさな課長のデスクの上にはリサイクル用の籠が置いてあり、それを捨てるのがゴミ当番の仕事でもあるらしい。
「間違えて大事なものが交じってることもあるから、いつもはちゃんと確認してから捨てるんだけど、あの日は約束があって急いでいて・・・」
それって確認を怠ったのも悪いけれど、半分は課長のせいじゃないか。