シークレットな関係

「あったのか、いったいどこに?」

「課長がリサイクル籠に“間違えて”入れていたそうです」

「私がよく確認せずに捨ててしまいました!すみません!」

「何だと?君が捨てたのか!」


今度は謝った彼女の方へ課長の小言が始まりそうになるから、思わずデスクをバン!!と叩いた。


「な、何なんだ、君は!派遣のくせに」

「そもそも課長が、真っ先に気を付けるべきことだと思います!!・・・と、高橋課長がここにいるなら、そう申し上げるはずです」

「あ、いや、その」


高橋の名前を出した途端課長の勢いが減り、ゴホンと咳ばらいをした。


「これから、気を付けたまえ」


顔を覆っていた笹山さんの肩を抱いて席に戻るように促すと、かすれた声でありがとうと言った。

大野さんと宮田さんが傍に来て、笹山さんに声をかけている。


「櫻井さん、よく言ってくれたわ。ありがとう」

「あのリサイクル籠。前から問題にはなっていたのよ。でもみんなが気を付けていたから今までは何事もなかったんだけど」


これから改善するよう話し合うことになり、今日の騒ぎは収まった。

私は派遣で期間が終わればここを去る身だから言えたけれど、社員としてはなかなか進言できないかもしれない。

あんな性格の課長だから余計に。頑固そうだし。

これからはいい方向に向かうといいな。

笹山さんたちのために、そして、高橋のためにも。

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