シークレットな関係

社長が呼びかけると、すぐに葛城専務が入ってきた。


「はい。社長、何でしょうか」

「ももちゃんもオーディションに出すから、手続して」

「社長!しかしこれは宇津木が」

「今決めました。宇津木も出す。ももちゃんも、出す。社長命令です」

「・・・承知、しました・・・では、早速」


頭を下げて出ていく葛城専務がドアを閉めた後、社長は私の手を握ってくれた。

その手があたたかくて、感謝とやる気がわいてくる。


「ももちゃん、事務所としては宇津木プッシュでいくから大々的にバックアップはできないけれど、頑張ってみて」

「はい。ありがとうございます。チャンスをくださった事、感謝します」


嬉しさを噛みしめ、もう一度お礼を言って社長室から出ると、葛城専務が私を待っていた。


「応募はしてやる。だが、援助はしない。せいぜい頑張れよ」

「はい、宇津木さんに勝ってみせます」


強気を見せると葛城専務は手をひらひらと振って、目障りだとばかりに「早く帰れ」と言った。


事務所から出て、握りしめていた冊子を眺める。

これが最後のチャンスかもしれない。

全力で挑もうと決め、冊子をバッグに仕舞って代わりに高橋からもらったメモを出して駅に向かった。


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