シークレットな関係
できればカード払いは避けたくて、こっそり財布の中身を確認しようとバッグを開けていたら、ビールが運ばれてきてサッと隠す。
店員は「おつぎしてよろしいですか?」と高橋に確認して、優雅な手つきで栓を抜いたビールを二つのグラスに注ぎ、一つが私の前に置かれた。
シュワシュワと立ち上る細かい泡が喉の渇きを思い出させる。
和服の裾さばきも鮮やかに店員が部屋を出ていくと、高橋はすぐにグラスを手に取って私をじっと見た。
「あの、高橋。実は私・・・」
「心配するな。ここは俺が勝手に連れてきたんだ。極貧のお前には一円も要求しねえよ。一種の歓迎会だと思え。思う存分飲め、食え」
「極貧って、失礼な!私にだって少しは貯金があるから。ただ・・・今は、持ち合わせが少ないだけで」
後半はもごもごと呟くように言った私に、彼はグラスを持つよう促してきた。
「再会に乾杯だ」
二人でグラスを合わせた後飲んだビールは久しぶりで、すごくおいしく感じて一気に飲み干す。
こうなったらもう、高橋の言う通り思う存分奢られてやる!
美味しい料理にお酒が進み、私も高橋も饒舌になってくる。
子供の頃の思い出話とか同級生の近況とか話してくれて楽しい。
強引だったけれど、気分転換に連れてきてくれたのかな。
意外にいいところがあるのかも。
『男難』などと思ったのは間違いだったかな。
料理がなくなりデザートがテーブルに置かれた後、高橋がふと真面目な顔になった。