シークレットな関係
「さて、櫻井。そろそろ、ここに来る原因となった話を聞かせてもらおうか」
「え、今?もういいでしょ。せっかくの楽しい気分が台無しになるから、聞かない方がいいよ」
「俺が良くねえんだよ。それに、さんざん飲み食いしただろうが。嫌とは言わせねえぞ」
テーブルの向こうから向けてくる眼光は滅茶苦茶鋭い。
もとはといえば高橋の一言のせいなのに、脅してこなくてもいいのに・・・。
「いいから、聞かせろよ」
「・・・私なりに頑張っているの、ずっと。それなのに、あんな言い方をされたから、つい」
私は小さい頃、CM出演したりしていた子役だった。
そこそこに売れていて、高学年の頃出演したドラマでは、毎回一言二言の台詞を言えるくらいのレベルになった。
大人からは『可愛いね』『演技がうまいね』とちやほやされ、将来は大女優になる気満々でいた。
綺麗な女優さんと共演したり、人気俳優さんとCMに出たり、それなりの活躍をしていたのだ。
でも、中学生になって勉強との両立を図るあまりにテレビでの露出が減ると、すぐに人気が下降して忘れ去られて・・・。
大人になってから出演したドラマがきっかけで、エキストラレベルの仕事しかもらえないほどに落ちた。
その仕事も減って、派遣社員みたいな定職に就いても差し支えがないほどに仕事がない。
「で?大人の事情っていうのは何だ」
「それは、その・・・ラ、ブ・・・シーン」
「は?今何て言った?」
「ラブシーンができないの。相手役の俳優さんを前にすると緊張しちゃってうまくできないの」
恥ずかしいから早口で一気に言うと、高橋は少し呆気にとられた顔をした。