シークレットな関係
頭が、痛い・・・。
ズキズキする痛みで目が覚め、起き上がろうとしたらめまいに襲われて再びベッドに沈んだ。
目も息も体中どこもかしこも熱くて、熱が高いのだと自覚する。
昨夜は雨に濡れて帰ったのに、あまり体を温めずに寝たのがいけなかったのか。
気分が奈落の底まで沈みきって何もやる気にならなかったとはいえ、こんなに体を痛めるのは女優としては駄目だ。勿論社会人としても。
とにかく、現状を把握しないと・・・。
ずりずりとベッドから降りてクローゼットまで這っていく。
救急箱を取り出して熱を測ってみると三十八度を超えていて、一気に気力が萎えて会社に行くのを諦めた。
電話、しなくちゃ・・・今は八時半、高橋が出る可能性は低いけれど、もしも出たらどうしよう。
声を聞いたら固まってしまい、最悪何も言わずに切ってしまうかも。
そう緊張する私の耳に響くコール音が五回目になったとき、女子社員が出てくれてホッと息を吐いた。
「あ・・・櫻井です。体調が悪くて、すみませんが今日は休みます。高橋課長に伝えてください」
出した声が掠れていて息も絶え絶えになり、電話に出た大野さんは『やだちょっと、大丈夫!?』と、ものすごく心配してくれた。
「大丈夫じゃないです」
『櫻井さん、薬はあるの?病院行ける?』
「とりあえず、常備薬があります」
『確か独り暮らしだよね。何か欲しいものない?会社帰りにお見舞いにいくよ。家はどこ?』