シークレットな関係
これは事務からではなく、専務直々のメールだ。
ご丁寧にも宇津木晴香の情報までくれるなんて、応援してるんだかそうでないのかよく分からない。
でも、これで一歩前進だ。
恋人ごっこにつきあってくれた高橋のためにも、待ってると言ってくれた洋子さんのためにも、何より自分のためにがんばろう。
熱は三十七度まで下がっていて、汗をかいたパジャマを部屋着に変えたらさっぱりした。
何かお腹に入れようと思って冷蔵庫を見るけれど、すぐに食べられるものが何もない。
おかゆを作ろうと決め、棚から鍋を出していると、玄関のチャイムが鳴った。
誰だろう、セールスだろうか。
「はい。どちら様ですか」
「俺だ」
聞いた瞬間心臓がドクンと波打った。
ドア越しに聞こえてくる声は、最近よく聞くものに似ている。
でもまさかそんなはずはない。
だって今の時間彼は仕事中だ。
「あの、部屋をお間違えではないですか。オレダさまという知り合いはおりませんが」
そう伝えると、舌打ちが聞こえたような気がした。
「・・・あー、悪かった。俺は上司の高橋。櫻井を見舞いに来た」
た、高橋?やっぱりそうだったのか。
今は顔を見たくないのに、どうしよう。
「・・・そ、それは、お見舞いありがとうございます。で、でも風邪がうつりますので、会うのは止めた方がよろしいかと思います、が?」