シークレットな関係


それで勝っては得意げに笑っていたじゃない。

そりゃあ優しいときもあったけれど、イヤミな時のが多かったのに。

子供の頃を思い返してぱっと浮かぶのは、ニヤリと笑う顔だけだ。


「あの頃のお前はきらきら輝いていてまぶしくて、平凡な俺がお前に認めてもらうには、あらゆる勝負に勝つことしかないと考えていた。俺を見てほしくて、すげー頑張ったんだぞ。まあ、今思えばガキだったよな」

「そんなことを考えて、あんなに何度も・・・?」

「でもお前はちっともなびいてる様子がなくて、俺は十五年の間、諦めたり惚れたりを繰り返していた。気づいてないとは、お前鈍感だよな」

「で、でも、高橋は彼女作っていたし、そんなの分からなかった」

「それは諦め期間中。社会人になって再会したときは驚いたし、お前は変わらずに綺麗で性格も変わってなくて、すぐに気持ちがぶり返した。咄嗟に提案した恋人契約も、俺にとっては本気だったよ。『惚れるな』の本音は『惚れろ』で、最後のチャンスだと思ってマジで落としにかかっていた」


高橋が一層近づいてきて、あごに指を添えて上を向かされた。

潤んだ優しい瞳に見つめられて鼓動が高速になる。


「だから、お前に好きと言われたとき戸惑ったんだ。夢じゃないのか?と・・・俺の片思い歴、舐めんなよ?」

「あ・・・高橋、風邪がうつるから」


唇に息がかかって避けたら、両手でほほを包まれて元に戻された。


「うつしたほうが治りが早いぞ」

< 86 / 119 >

この作品をシェア

pagetop