シークレットな関係
高橋と思いが通じ合って一か月以上が経った。
派遣期間は二週間前に終わり、大野さんたちに惜しまれながらも契約終了した私は完全無職だ。
「ん、今日もいい天気」
朝の五時半、鳥の囀ずりを聞きながらいつものコースを走る。
まだ人通りの少ない道を走るのは、空気も景色も独り占めしているようですごく気持ちがいい。
川まで往復で約二キロ、いい具合に息が上がった頃河原につくので、そこで一息ついて基本の発声練習をする。
朝の澄んだ空気に凛と響く声は、今日も絶好調な手ごたえを感じて気力がみなぎってくる。
思わず対岸に向けて叫んだ。
「がんばるぞー!見てろよー!葛城専務ー!!」
思い切り声を出してスッキリし、アパートに戻って軽くシャワーを浴びて汗を流した。
「今日は和食にしようかな」
厚焼き玉子にお味噌汁。
鼻歌混じりで朝ごはんの支度をしていると、ふわりと後ろから抱きしめられ、びっくりしたけれど幸せを感じた。
「おはよう。いい匂いだな。食べたくなる」
「もう少しでできるから待ってて」
「違う。いい匂いはこっち」
「や・・・」
首筋にキスをされてゾクゾクと体が震え、お玉を落としそうになる。
「火を使ってるのに、危ないでしょ」