シークレットな関係

「お疲れさまでした。じゃ、明日は十時に迎えに行きますから」

「はい。お疲れさまでした」


仕事が終わった夜の八時、マネージャーに送ってもらって来た場所は洋風居酒屋『ネコのしっぽ』。

四角い看板に黒猫のしっぽがタラリとはみ出したデザインがとてもかわいく、アニメに出てきそうな感じの店構えで、女子に人気のお店だと聞いた。

完全個室ではないけれど部屋みたいな仕切りがあってくつろげ、料理もおいしいと評判だという。

ここに来たのは女子会に参加するためで、lineで連絡を取りながら“友達”のいるテーブルを探す。

すると、通路にぽっちゃり体系のショートの子が出てきて、笑顔で手を振ってくれた。


「櫻井さん、こっち!こっち!」

「ごめんなさい、道が混んでて。待たせましたか?」

「そんなことないよ、大丈夫。みんなついさっきテーブルに着いたところだから」


白壁に飴色の柱が北欧の民家を思わせる空間で、みんなが満面の笑顔で迎えてくれる。

背が高くてモデル体型の笹山さん、スレンダー美人の宮田さん、そしてぽっちゃり癒し系の大野さん。

一週間前に『恋味レシピ』が公開されてすぐ、彼女たちからは大興奮の電話やメールをもらっていて、当然のことだけど女優であることはすっかりばれている。

で、今はその大騒ぎになった日から数えて一週間後の金曜夜だ。

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