どうすればいいのかわかりません!
このセンスは素晴らしいけど。

きっと……気が合わなさそうだなー。

出来れば、一緒にご飯食べて、ゆっくりできる人がいいなぁ……って思うのだけど。

黒縁眼鏡さんは髪はお洒落にセットして、オフホワイトのシャツに黒のカーディガンを羽織り、ジーンズに黒のスニーカーを合わせている……。

だけど言葉は変だし、イケメンだけど無表情だし。
見た目はイマドキ風味でも、何だか雰囲気が固い。

きっと、緊張しそうなタイプ。

まぁ、でも、そんなに長い間一緒にいるわけじゃないし……。

「綺麗ですね」

今だけ話していればいいかな~なんて思いながら、会話してみる。

「好きなので」

何が好きなの? スイーツが? スイーツをデコるのが?

「何をですか?」

珍しいな、って、思いながら何気なく聞いてみたら。

「食べている女性を見るのが」

「……はぁ」

けっこう衝撃的な答えが返ってきた。

無表情の工藤さんを目を丸くして見ていたら、戸倉さんが思いきり彼の頭をバシンと叩く。

「料理! こいつ料理を作るのが趣味なんだ!」

……フォロー遅いよ。

気づいて、美保と同時に吹き出してしまった。

「な、仲がいいんですね」

頭を叩かれても、動じないで眼鏡を直している工藤さんもすごいけど、思いきりぶっ叩いた戸倉さんもすごい。

笑いながらお皿を受け取って、工藤さんに向かって微笑んだ。

「いただいちゃいます。甘いもの好きなんですよ。工藤さんは甘いものも作れるんですか?」

「甘いものをよく作ります」

会社員って言ってたから、それは趣味だよね。

スイーツ作りが趣味か。いや、作ったものを食べさせて見ているのが好きなのが趣味?

どっちにしても、変わり者かなぁ。

「あの……」

工藤さんが、握りこぶしを握ったのが見えたけど……。

スタッフさんから、席を替える指示が出て、にこやかに立ち上がる。

「ごちそうさまです」

そう告げて、美保と一緒に席を移動した。
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