どうすればいいのかわかりません!
それから十数分置きに何回か席は替わって違う人と話もしたけど……。

巨人の人と、とても乙女チックな男子を除いたら、だいたいの人は美保にばかり話しかけてきて、私はおいてけぼりにされる。

わかるんだ。こうして並ぶと私と美保と、どちらがかわいいかって言ったら断然美保だ。

身長は私と美保は変わらない。ふたりとも145センチのチビサイズ。

だけど美保はサラッサラのワンレンロングの黒髪に、白くてきめ細かい透明感のある肌、ほっぺはピンクで、唇だってちょこんと赤い。

眼はくっきりと二重で大きくって……どこからどう見ても美少女キャラ。

だけど私は髪はくせっけだし、お肌も普通。たまにニキビが出来てチョコレートを食べるときには気を付けている。

眼は二重だけどそんなに大きくないし、体型はぽてっとしているし。

私が男でも美保を選ぶと思う。

フリータイムになった時、ふたりでビッフェの料理を取り分けていたら……。

「ああ、もうムカつくな」

美保は見るからにイライラして、お皿にパスタを盛った。

「何が? モテモテじゃん?」

「あれはモテてるって言わないの。あんたガン無視されてんじゃん」

「いやぁ……見た目違うもん。いつものことじゃない?」

「見た目で寄ってくる男ってどうなのよ? 私は梨理を友達ですって紹介してんだよ? 私の友達ガン無視で、私にばっかりペラペラしゃべりかけてくる男ってどうなの」

どうなのって言われてもなぁ。

「いつものこと?」

「あー! もう! ダメじゃん! 今回はあんたに話しかけてきた人って数人じゃん!」

何を怒っているのか、美保はプリプリしながらフロアを見渡して……それから目を丸くした。

「ね、ねえ?」

美味しそうなエッグベネディクトに手を出すかどうか悩んでいたら、美保に服の袖を引かれる。

「なに?」

「もしかすると、もしかして、あんたターゲットにされてるかも」

はあ? 意味がわからないよ。

そう思って振り返ると、目の前に綺麗に料理が盛られたお皿と、無表情な工藤慎一さんが立っていた。
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