どうすればいいのかわかりません!
*****
「もう! なんなのあの人たち!」
道すがら、キャンキャン怒っている美保を宥めながら駅に向かう。
「まぁ、街コンなんだし。ナンパだと思えばさ。カットモデルするの?」
「するわけないでしょ! あんな失礼な人に任せるなんてできるはずがないじゃない! もらった名刺なんてポイするよ!」
ああ、そういえばもらったな。工藤さんにも何か渡された。
そして、もらった紙片を何気なく見て……固まる。
美保が数歩進んで、立ち止まってしまった私に顔をしかめて戻ってきた。
「何? 工藤さんにもらっていたヤツ? なんて書いてあるの?」
「オリエント・リゾート開発……代表取締役、社長、工藤慎一」
「え……」
きちっと折り目正しい名刺をふたりで眺めて、それから無言で顔を見合わせた。
虚しいくらい雨の落ちる音が響く。
「さ、詐欺?」
半泣きの私に、美保がスマホを取り出して検索を始める。
「そんな……いや、でも……うそぉ」
調べ終わったスマホの画面を見せてくれると、オリエント・リゾート開発のホームページ。
そこには年商なんかもつらつら書かれていたけど、対談コメントをしている社長の写真も添付されていた。
キリッとした無表情。髪型も落ち着いた感じにセットされて、ビシッとスーツを着た……工藤さんの姿と、代表取締役の文字。
倒れそうです。
「梨理。あ、あんた、付き合おうとか言われてかった?」
「……し、信じない! そ、そそそんな社長とか、ありえない! そんな選り取りみどりそうな人が、私にそんな事をいうはずがない!」
「でもさぁ。私も聞いてるんだし」
「だいたいそんな人が誰か見つけるって言ってもお見合いとかでしょ! どこをどう間違って、街コンに参加するの! よく似た他人の空似の同姓同名の人だよ」
あわてふためくと、美保がポンポンと肩を叩いた。
「案外、社長って庶民を欲しているのかもしれないよ?」
「嫌だよ! どーせ遊ばれるだけだって! 社長なんて職種の人は、キラキラとしたスレンダーで綺麗な人を選ぶものでしょ」
叫ぶようにして言うと、美保が慌てたようにし始める。
「り、梨理。ちょっと……!」
「信じない! 遊ばれて、傷つくのは庶民なんだからね!」
「梨理!」
「社長である前に、一人の男でもあるのですが」
美保の悲痛な叫びと、低い声は同時に聞こえた。
「もう! なんなのあの人たち!」
道すがら、キャンキャン怒っている美保を宥めながら駅に向かう。
「まぁ、街コンなんだし。ナンパだと思えばさ。カットモデルするの?」
「するわけないでしょ! あんな失礼な人に任せるなんてできるはずがないじゃない! もらった名刺なんてポイするよ!」
ああ、そういえばもらったな。工藤さんにも何か渡された。
そして、もらった紙片を何気なく見て……固まる。
美保が数歩進んで、立ち止まってしまった私に顔をしかめて戻ってきた。
「何? 工藤さんにもらっていたヤツ? なんて書いてあるの?」
「オリエント・リゾート開発……代表取締役、社長、工藤慎一」
「え……」
きちっと折り目正しい名刺をふたりで眺めて、それから無言で顔を見合わせた。
虚しいくらい雨の落ちる音が響く。
「さ、詐欺?」
半泣きの私に、美保がスマホを取り出して検索を始める。
「そんな……いや、でも……うそぉ」
調べ終わったスマホの画面を見せてくれると、オリエント・リゾート開発のホームページ。
そこには年商なんかもつらつら書かれていたけど、対談コメントをしている社長の写真も添付されていた。
キリッとした無表情。髪型も落ち着いた感じにセットされて、ビシッとスーツを着た……工藤さんの姿と、代表取締役の文字。
倒れそうです。
「梨理。あ、あんた、付き合おうとか言われてかった?」
「……し、信じない! そ、そそそんな社長とか、ありえない! そんな選り取りみどりそうな人が、私にそんな事をいうはずがない!」
「でもさぁ。私も聞いてるんだし」
「だいたいそんな人が誰か見つけるって言ってもお見合いとかでしょ! どこをどう間違って、街コンに参加するの! よく似た他人の空似の同姓同名の人だよ」
あわてふためくと、美保がポンポンと肩を叩いた。
「案外、社長って庶民を欲しているのかもしれないよ?」
「嫌だよ! どーせ遊ばれるだけだって! 社長なんて職種の人は、キラキラとしたスレンダーで綺麗な人を選ぶものでしょ」
叫ぶようにして言うと、美保が慌てたようにし始める。
「り、梨理。ちょっと……!」
「信じない! 遊ばれて、傷つくのは庶民なんだからね!」
「梨理!」
「社長である前に、一人の男でもあるのですが」
美保の悲痛な叫びと、低い声は同時に聞こえた。