水男(ミズオ)
俊介はオフィスを出て
階段のドアを開け
上の階へと昇っていく。
どこに行くんだろう?
不思議に思う亜美。
なんでエレベーターではなく
こんな薄暗い非常用の階段を使うんだろう?
亜美は俊介が昇っていくのを
気づかれないように後を付けていった。
コツコツ……
暗い階段を歩く
靴音だけが聞こえる。
やがて最上階にたどり着いた俊介の前に
現れる扉。
勢いよく開けるとそこには
青い空と白い雲が広がっていた。
屋上。
こんなところに来て
俊介は何をするつもりだろう?
亜美は俊介の秘密を探っているようで
少しドキドキしている。
青い空は亜美の頭の上を
どこまでも広がっている。
小さな雲が浮かんでいる上には
夏の日差しを地球に浴びせる太陽。
俊介は屋上たどり着くと
まぶしそうに太陽を見上げた。