四百年の誓い

　「……お嬢さんはそこそこ可愛いし、家庭にも特に問題はないし、学業も優秀だったようだね。何の事情もなければ、優雅との結婚は認めてやったかもしれないが」


　丸山は突然、話題を変えた。


　「だが優雅には、さらに上の家柄が必要なのだ。だから名門家の令嬢との政略結婚が不可欠だ。優雅の今後のために」


　「ですが……」


　「もしも君が優雅の母親である紫のように、常に一歩下がった立場を受け入れてくれるのならば、とりあえず結婚までは交際を目をつぶってもいいぞ」


　「何ですって……」


　「最近は飲み屋の女たちも、下半身同様口が軽い連中が多いようだ。変な女にちょっかいだして、後から暴露されてイメージを下げるくらいなら、黙ってそばにいる交際相手がいた方がましだ」


　「……」


　「君さえおとなしくしていれば、結婚まで優雅の面倒を見てくれてもいいぞ。絶対に口外しないことを条件に」