四百年の誓い
 国立大とはいえ、生活費も含めれば年間百万近く親に負担させている。


 常に心苦しく感じていた。


 高校時代の同級生には富裕層も多く、関東の私大や医大など、地元国立大とは比較にならないほどの学費を要するにもかかわらず、学費捻出にさほどの苦労もしていないような家庭もあったが……。


 美月姫の家はそこまでではなかった。


 「お嬢さんもあと二年で、大学卒業。院に進んだとしても、数年後には就職を考えなければならないね」


 次に丸山は、美月姫自身のことに言及してきた。


 「それまでの間に、この国の景気が急に以前のバブル期水準に戻っているとは考えられない。君は文学部だ。文学部の求人は他学部よりも多くないと聞いているが?」


 「……」


 「優雅の面倒を見てくれたお礼に、君の就職先も何とかしてあげよう。ご希望とあらば、申し分のない縁談を紹介してあげてもいいが? 優雅とのことをわきまえてくれるのならば」
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