四百年の誓い
 「……ご心配には及ばないと思われますが、お心遣いありがとうございます」


 美月姫は精一杯強がって答えた。


 「では……、今日は移動の途中なので、ここで失礼するよ」


 丸山は車に戻ろうとしたが、


 「おっとその前に」


 胸ポケットから名刺ケースを取り出し、そこから一枚。


 「何かあったら、ここに連絡しなさい」


 名刺を手渡された。


 そこには丸山乱雪の名の他、東京の事務所の所在地と電話が印刷されており。


 事務所の電話番号の下に、携帯電話の番号が書き込まれていた。


 おそらく丸山のプライベート用携帯電話の番号だろう。


 「今後どうするか決まったら、いやそれ以外にも、私との約束を守るのなら、金銭的援助も厭わないから連絡しなさい」


 「……」


 美月姫は唇を噛んだ。


 「それでは」


 秘書がドアを開け、そこから丸山は車に乗り込んだ。


 秘書は冷たい目で美月姫を一瞥して、逆側のドアから車内に消えた。


 ボブサップは美月姫ににっこり微笑んで、助手席に。


 そしてベンツは発車した。
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